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2026.03.09
BLOG,,美容医療コラム

美容クリニックの内装と売上の関係——「豪華さ」より「戦略」が大切な理由

当院がここ東京・原宿に開院し、6年が経過します。

当院は、当時まだ受診するハードルが高かった美容クリニックを、誰しもが緊張せずに通っていただける空間を目指し、その内装を手掛けました。

しかし最近気になるSNSの投稿を発見しました。それは「美容クリニックの内装に金をかけているのは戦略的に間違っている」といったもの。

その投稿内容を読んでいて、なるほど一理あるなと感心しながら読んでおりましたが、そこでふと疑問を感じました。


「最近の美容クリニックは内装がシンプルだな」と感じたことはありませんか?

少し前までの美容クリニックは、大理石の床や煌びやかなシャンデリアが"定番の内装"でした。しかし近年、部屋をただパーテーションで区切っただけで、床も業務用の絨毯を敷き詰めるといった、あえて拘りを見せず、意図的にシンプルな内装で開業するクリニックが増えています。これは内装に手を抜いているのではなく、経営戦略の変化を反映したものです。

内装は売上に影響する——環境心理学が示す根拠

内装が集患や売上に影響することは、実は半世紀にわたる学術研究によって裏付けられています。

1970年代、経営学者Philip Kotlerは「アトモスフェリクス」という概念を提唱し、店舗環境のデザインが顧客の購買行動に影響することを示しました。

その後1974年、環境心理学者のMehrabian & Russellは、空間からの刺激が人に「楽しさ・安心・緊張」といった感情反応を引き起こし、その場所に近づくか離れるかという行動を左右することをモデル化しました。

さらに1994年のDonovanらの研究では、店内で心地よさを感じた顧客はそうでない顧客に比べて、より長く滞在し、より多くの支出をする傾向があることが実証されています。

つまり、古くからの研究で、「内装の良し悪しは売上に相関する」ということが示されているわけです。


美容クリニックにおいても同様です。患者さんの多くは来院前にHPやSNSで内装写真を覗くことができ、そこから感じる「清潔感」や「居心地のよさ」を直感的な来院の判断材料にしがちです。また、「また来たい」と思ってもらえる空間かどうかは、リピート率にも直結します。

ただし「豪華であること」と「売上が上がること」は、必ずしもイコールではありません。富裕層向けの高単価クリニックと、気軽に通えるカジュアル路線のクリニックとでは、内装に求められるものがまったく異なるからです。

「シンプル内装」が増えている本当の理由

近年、美容医療の集患の主戦場はオンライン診療などの、より簡便に受信できるツールに移行しています。患者さんはSNSや検索で複数のクリニックを比較し、来院を決めます。そのため、クリニック側は内装への投資を抑え、その分をWeb広告やSNS運用に充てる事例が増えているのです。これらの運用コストが売上の30%に達するクリニックも珍しくありません。

また、受付・待合室など「目に入る部分」だけにこだわり、施術室はシンプルにまとめる「ハイブリッド型」の内装設計も広まっています。

当院が大切にしていること

APOLLO BEAUTY CLINICは、原宿という立地柄、感度の高い患者さんが多くご来院されます。そのため当院では「豪華さ」ではなく、カフェのようにリラックスできる雰囲気と、プライベート感を重視した空間づくりを心がけています。

内装は当院を取り巻く一部です。技術や知識があることは当然ですが、「直感的にどんな患者さんに、どんな体験を提供したいか」というコンセプトが空間に一貫していることが、長く選ばれるクリニックの条件だと考えています。